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2015年4月18日 (土)

ショートショート「回収しないフラグと伏線」

「回収しないフラグと伏線」

作:祇羽

 死を予言された新人声優、月島詠歌(つきしま えいか)。
詠歌は3日前からストーカーに狙われていた。

その切っ掛けとなったのが、ある霊能力者との出会い。
4日前、大手声優事務所の仮所属となった詠歌は、事務所の紹介で雑誌のインタビューを受けることになる。
そこに記者として現れたのが、佐和田マイケル(さわた まいける)。自称、霊能力者だ。

「あー、君は4日後、ストーカーに胸を刺されるね」
と、彼は唐突に見かけと同じ軽薄な口調で言った。

……そして今日が、その4日目となる。

「予言なんて信じない。 刺されて死ぬなんて……けど、もしかしたらあの時の……って、そんなことより!」

そう、ストーカーや予言のことも気になるが、詠歌にはもう1つ悩みがあった。

事務所に未払いとなっている120万円の入会金(正式な所属に必要な事務費用とのこと)だ。
明日までに事務所の社長へ直接渡さなければならない。

社長の犬神隆三(いぬがみ りゅうぞう)は一見温和だが、業界の噂ではかなりの鬼畜でロリコンらしい。

もちろん、その噂は知っていた。
だが、詠歌にはそれでもなんでも入る必要があったのだ。
それは、詠歌の出生と後に得た”力”に関係する。

”闇の天使”
詠歌たち、遺伝子改造による能力者を示す名称、カテゴリーだ。
既存の霊能力や超能力とは異なる、人によって作られた怪物。

そして、声優事務所社長、犬神隆三の裏の顔が、”闇の天使の売人”
もう鬼畜とかロリコンどころの話ではない、真っ黒な犯罪者だ。

「待ってて塔子(とうこ)、私が必ずあなたを……」

詠歌は、塔子が言っていた言葉を思い出していた。
『あたしさぁ! 声優になったら絶対に櫻谷くん(超有名声優)と結婚するんだ!』
あの時の塔子の真顔、痛々しかったな……。

「私も、あなたを助けたら、田舎に帰って……」

END.

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